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精神病予防とコーチング
日本でコーチングを学ぶと、真っ先に目に飛ぶのはビジネスコーチングです。つまり、社内に部下に対してどのような接し方がコーチングとなるのかを追求するのは最近日本におけるコーチング界の主流になっています。 また、コーチング資格を授与する業者がコーチングスキルの体系化に挑みましたが、その結果、コーチングがかなり教育商品化されたと言わざるを得ません。つまり、学べば(またはお金を払えば、)誰でもコーチになれるように、コーチングがかなりシンプルで無難なものになりつつあると危惧しています。 その影響から、多くのコーチが第一にコーチングとカウンセリングの違いについて必死になります。つまり、コーチングと心理学は全く別物であると彼ら、彼女らが理解し、その見解をクライアントに承知してもらえるようにコーチングの縄張りを必要以上に明確しているのではないかと考えます。 元々、コーチングはアメリカ人の臨床心理士のカール・ロジャーズが提唱した来談者中心治療法に基づいているので、コーチングと心理学の区別は必要ありません。それに、ビジネスに限るコーチングの応用はコーチングの可能性に制限を加えるといえます。 確かに、コーチングは治療目的で行われるべきではありませんし、精神病の治療法にもなりません。精神病の患者の方にはカウンセリングの他に、薬の服用が欠かせないので、コーチの力でうつ病等を治療することは到底不可能です。 しかし、精神病の予防において、コーチングが抜群の効果を発揮します。つまり、精神的に悩んでいるときにコーチングを受けることによって、精神病の発病を高い確率で防ぐことができると考えています。但し、それはあくまでも私自身の見解であり、精神病予防におけるコーチングの効果を確認された調査が私が現在知っている限るなされていません。 何故、コーチングは精神病予防に有効かについて、私の仮説の裏付けとなる二つの理由を紹介したいです。 その第一の理由とはコーチングの由来にあります。上記に既に言及したとおり、コーチングの形式や特徴が基本的にカール・ロジャーズの来談者中心治療法に基づいています。患者は治療師の設問をきっかけに自らについて語ります。その語りから、自分自身に関する発見や気づきが促され、精神の安定化が図れるわけです。コーチングはいうまでもなく目標設定や行動を重視していますが、コーチの設問によって治療と同様な効果が生まれます。特に、普段聞かれないような設問によって、考え方や視点がガラっと変わり、固定概念やちょっとした思い込みから思考が開放される可能性が極めて高いです。言い換えれば、コーチングの設問、クライアントの語りと全体の振り返りによって、精神の安定化と強化が促進されるので、精神病予防にコーチングが効果的だと考えています。 第二の理由は上記と密接に関係しています。それは、コーチングにおけるカタルシス効果が精神病予防そのものになります。 自分がしゃべったことが聞いて、「私、意外にいいこと言うんじゃん」とか「あれ、言ってみるとなんか変だなぁ」のような発見があります。その発見こそが思考の刺激となり、潜在的能力が意識化されるわけですが、このような効果はコーチングにおいてオートクラインと呼ばれます。 そのオートクラインと平行に起きやすいのはカタルシスです。カタルシスには様々な意味がありますが、ここでは「感情浄化」としての意味合いのみを扱いたいです。 コーチングの場合、コーチはクライアントの話を真剣に聴きます。感情、悩みや不安を安心して語れるからこそカタルシス効果が起きます。ですから、目標達成と直接関係していないコーチングセッションでも、クライアントが安心して語れることによって、オートクラインにより発見が起きなくても、カタルシスによる精神の浄化が得られるでしょう。 悩んでいるときは誰にでもありますが、悩みを聴いてくれる相手がいなければ、精神病に容易に悪化しかねません。精神科に相談することに抵抗を感じる方も多いと思いますが、コーチングを依頼するにはそのような警戒心や抵抗があまりないと思います。メンタルヘルスにより問題が年々に増加傾向にあると言われていますが、企業にとっては、社員のメンタルヘルスが直接モチベーションと生産性に関係しています。臨床師の活用がビジネス界において困難であれば、精神病の手前に予防のつもりでも非管理職の社員にコーチングを実施するには大いに意義があります。それをコーチングと呼ぶか、「話を聴いてあげる」と呼ぶか、どちらにせよ効果は期待できるでしょう。
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