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組織における異文化能力開発

 

 

はじめに

 

本稿の焦点は組織内の異文化能力の開発に当てられているのである。従って、下記の設問に答えを提唱することが当小論文の目的となる。

  1. 組織にとって異文化能力開発の意義とは
  2. 異文化コーチングの実態とは
  3. 再異共有能力に焦点を当てた異文化コーチングとは(FACE異文化コーチングモデルの提唱の理論的背景)

 

尚、本高の考察は主に企業組織を想定しているが、非営利組織や個人による小集団(家庭等)にも異文化能力開発が意義ある活動であると考えているのである。

 

組織にとって異文化能力開発の意義とは

 

組織は課題解決または目標達成のために存在する体系化される集団である。企業の場合に、主な存在目的は利益の追求と分配(資本、配当、給料等々)である。当然、組織の目標を達成するために、組織全体と成員各自の生産性が重要な要素を成すと言えよう。生産性の維持や向上には様々な(ビジネス)スキルの駆使が必要であるが、中にはコミュニケーションスキル全般が近年最も重要視されているのである。無論、コミュニケーションスキルの明確な定義はなされていないが、ビジネス界にとってはいわゆるソフトスキルまたはヒューマンスキルがその概念を総称しているようである。

しかし、ソフトスキル啓発の目標を訪ねると、自律性の向上及び変化への対応力の養成が挙げられているのである(2008年度コーチング調査参照)。多様性、つまり変化に対する対処と対応能力は性格上において異文化コミュニケーションに類似していると考えるため、異文化能力の開発は必然的に企業が求めるコミュニケーション能力と自律性の向上に貢献すると想定しているのである。

上記の考察に加えて、Adler (1998:117)は「すべてのビジネスに異文化交渉が重要になっている」と明記している。つまり、組織活動が外国の個人と法人とのコミュニケーション(交渉・関わり)を含むか含まずに、組織成員全員に異文化コミュニケーション能力、即ち異文化能力と関連しているスキルの育成が望ましいと推定できる。
2009年現在の世界状況を考慮すると、加速している国際化を背景に組織における異文化能力の育成は「望ましい」のではなく、もはや企業の存続にとって必要不可欠になりつつであると言うべきであろう。

現代の企業組織は外国の投資や人材を用いれば、または外国に対して営業や開発活動を展開している場合に言うまでもなく異文化コミュニケーション能力の中核としての異文化能力を必要としているのである。しかしそうでなくとも、同文化圏の成員が国内向けに組織活動を展開する場合でも、年代、ジェンダーや立場等による多様性が組織内異文化を形成すると考えるために、部署内外を問わず何らかの形の「異文化」が必ず存在していると考える。

上記の考察から推測できるように、組織活動には必ず差異や多様性に対する対応が常に必要である(異文化コミュニケーション)。そのために異文化能力の開発と育成が望ましいと推論できるが、所詮異文化能力の有無は組織の生産性にどのような影響を及ぼすかを視野に入れるべきであろう。生産性の測定や定義には無数な方程式が存在するが、本稿にはAdler (1998:124)の仮設を下記の様に用いる。

実際の生産性=(潜在的な生産性)-(誤ったプロセスによる損失)

上記の方程式の「誤ったプロセス」には、異なる前提や価値観によるミスコミュニケーションやそれによる動機の低下が当てはまる。高い異文化能力によってそれらの差異が明確化かつ共有される結果、より健全的な関係性が可能となる。その関係性を土台にミスコミュニケーションを減らし、非生産的な活動及びモラルや満足の低下は阻止できると考えられる。結果として、高い異文化能力はコミュニケーション能力の向上とつながり、誤ったプロセスによる損失を低下させる故に実際の生産性を向上させると予測できる。